乙女座さんの妄想劇場

杉本なつみブログ

舞台「金閣寺」2011.01.20

ニューヨークでも絶賛され凱旋公演となる舞台だが、私はスケジュールが合わず初演を見られなかったので、今回が初見。


主演の森田剛さん、否もはや森田さんではなかった。1ヶ月前にインタビューさせてもらった方と同一人物とは思えなかった。単に坊主頭にしたから、とかではない。話し方といい存在の仕方といい、ただ「溝口」がそこにいた。
そういえば取材の際に、コンプレックスに翻弄される溝口にスターの森田さんが共感できる部分はあるのかと尋ねると、「懐かしい」感じがすると優しい眼差しと柔らかい口調で仰っていた。
2時間40分、舞台に出突っ張り。台詞量も半端ないと思うが、そんなことを感じさせないほど自然な佇まいだった。はぁ〜役者さんって凄いなぁ。


共演者も素晴らしかった。高岡蒼佑さんに大東駿介さん。こんなにイケメンが揃っていたら、いつもならキャーッというテンション。高岡さんは怪しげな色気のある役だったし大東さんは私の一番好きな制服・学ラン姿もかっこよかった。大好きな中越典子さんも出ていたし。でも公演中は「金閣寺」の世界に引き込まれて、ほとんど雑念(?)は抱かなかった。


男性3人はNYに着いたその日にスケボーを買って、毎日劇場までそれで移動していたそうだ。なんか青春!
日本公演ではなかなかお互いの時間が合わなかったため、NYでやっと一緒に過ごし語り合う時間が持てたそうだ。目まぐるしく展開する舞台上でも息がピッタリだったのは、そんな期間があったからこそかも。


そう、難しく重いテーマに見えて、舞台上は躍動感があり、全く飽きることがなかった。特に金閣寺の見せ方、表現法が印象的だった。セット転換の方法(というか物の動かし方)も面白かったし。ラストシーンはある意味、度肝を抜かれた。


文学好きの友人が常々、私の美意識は三島由紀夫に通じるところがあると言っている(決して冒涜しているわけではない)こともあり気にはなっていた作品だが、見られて本当によかった。 醜くて美しくて恐ろしい…とにかく瞬きすら忘れさせる(実際、私は目が乾いた・笑)迫力に満ちた舞台だった。